RSウイルス感染症の予防接種『シナジス』について!副作用はある?
乳幼児が初めて感染した場合、症状が出やすく重症化してしまう恐れのあるRSウイルス感染症。
色々と怖い噂を聞きますから、予防接種があれば受けさせたいと思っているお母さん方もいらっしゃるでしょう。
あまりなじみがない方もいらっしゃるかもしれませんが、RSウイルスの流行は毎年おこっています。
そして予防として「シナジス接種」という方法もありますが、耳にしたことがない方も多くいらっしゃるでしょう。
今回は、そんなRSウイルス感染症の予防接種「シナジス」について、気になる副作用なども含めてお話していきたいと思います。
RSウイルスの予防接種『シナジス』とは?
RSウイルス感染症を予防できる「シナジス」ですが、これは薬の商品名で正式な薬品名は「パリビズマブ」といいます。
なんとも覚えにくい名前ですが、この2つは同じものを表していると考えておけば良いでしょう。
その他の記事でもお伝えしてきた通り、RSウイルスにはインフルエンザでいえばタミフルのような特効薬がありません。
ですから、このシナジスがRSウイルスの重症化を防ぐ唯一の薬ということになりますね。
シナジスは、正常な免疫機能を持った人間が、RSウイルスに感染した時に作り出す抗体(ここではRSウイルスと戦うための免疫物質)と呼ばれているものを、化学的な方法で作り出した薬です。
これを筋肉に注射をして投与することで、免疫を持っているのと同じ効果が得られるために、RSウイルスの重症化が防げるというわけですね。
「重症化が防げる」というところが、とても大切なところです。
よく間違われてしまうのですが、シナジスはRSウイルスに感染すること自体を防ぐものではありません。
RSウイルス感染症になっても、重症化を防ぐという意味での予防になります。
また、もう一つ気を付けていただきたい点として、必ず接種しなければならないBCGや任意で受けることのできるインフルエンザの予防接種と違い、正確にはシナジスは予防接種ではありません。
簡単に説明すると、予防接種とは体に免疫を作り出せるようになるために学習させるためのものであり、シナジスは直接抗体(免疫)を体に入れるだけという点で予防接種とは言えないのです。
つまり、作り方自体を教わるのが予防接種で、シナジスは作られたものを手渡されているに過ぎないということですね。
ですので、抗体を作れるようになるわけではないために、シナジスの効果は時間が経てば無くなってしまいます。
その期間は、1度のシナジス接種で1か月程度と言われています。
このような理由から、シナジスの接種は流行している期間中、毎月接種を行わなければならないとなっているわけですね。
予防接種のシナジスに副作用はある?
シナジス接種は、周りにも接種した経験がある方が少なく、あまり知られていないので、情報がないために副作用が心配な方もいらっしゃるでしょう。
しかしシナジスによる副作用の報告はあまりされていません。
主な報告例としては、発熱や発疹など風邪のような症状があるようですが頻度は少なく、RSウイルス感染症の重症化を防げるという効果の方が重要ですので、気にならないといえるでしょう。
ですが、以前にもシナジスを接種した経験があり、接種後になにか副作用があった場合はかかりつけの医師に相談されてくださいね。
またシナジス接種は筋肉注射です。
筋肉注射は痛いというイメージをお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、痛いのは皮膚を刺すとき(皮膚にある痛点に当たってしまうと痛いです)や薬剤を注入するときなどに起こるもので、医師や看護師の指示に従えば接種後まで痛みが続くことは少ないと言えます。
ですので、あまり気にしすぎる必要はないと言えるでしょう。
シナジスを接種するにあたっての注意点は?
さて、シナジスを接種するにあたり注意する点があります。
これが結構重要なことなのですが、実はシナジスは、保険診療で接種できる人が限られています。
シナジスが保険診療で接種できるのは、一般的に早産といわれる在胎期間で生まれてきた新生児や乳児、先天的な呼吸器疾患や心疾患がある2歳以下の子供、免疫不全がある24か月以下の新生児や乳幼児、ダウン症の24か月以下の子供などです。
早産児や先天的な疾患をお持ちのお子さんがいらっしゃるお母さん方は、出産された医療機関などで説明され、接種を勧められていることがほとんどでしょう。
この条件に該当しない方は、自費で接種することになり、費用の負担はかなりのものになります。
毎月接種しなければならないこと、体重が増えるにつれ接種量も増えること、シナジス自体が高価な薬であることなどから、費用がかさむケースが非常に多いですね。
健康な子供であればRSウイルスに繰り返し感染することにより、免疫が付いてきます。
このため一般的な風邪のような症状で回復することが多く、基本的にはシナジス接種はさほど必要ないといえるでしょう。
どうしても重症化が心配!という方は、受けておくと安心といったものになりますね。
まとめ
RSウイルス感染症の重症化を防ぐことのできるシナジス接種ですが、その費用や効果などの関係上、さほど受ける重要性は高くありません。
シナジス接種以外の方法で予防することももちろんできますし、健康なお子さんであればRSウイルス感染症に繰り返し感染することで自然と免疫もついてきます。
もし感染したとしても、早期に病院へ行けば、ほとんどの場合適切な対処をして頂けるので、風邪のような症状でもきちんと病院に受診することが何より大切です。
ただ、シナジスの接種が必要な乳幼児であれば、かかりつけの医師に相談して、接種のスケジュールなど確認しておくと良いでしょう。
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